ノーベル賞を受賞した京都大学の山中教授が、ラグビー日本代表監督であった平尾誠二氏を偲ぶ「感謝の集い」の弔辞の中で披露した「人を叱る時の4つの心得」。
一つ一つの心得にはどのような意味があるのかを解説しつつ、子供を叱る場合にはどう応用するのかということについてもお話しします。
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プレーは叱っても人格は責めない
プレーでミスした時に、そのプレーについて注意する、指導するというのはいいでしょう。
しかし、人格まで否定するようなことを言ってしまってはいけません。
問題にすべきはそのプレーであり、原因を追及すべきもそのプレーです。
原因を人格に求めても解決策は見つからないです。
人格を否定されてしまうと、素直にいうことを聞けなくなりますし、そうなってしまうとお互いのためによくありませんよね。
子供の行動だけを注意する
子供を叱る時も同様です。
忘れ物をしたとか、やると約束した宿題をやっていなかったとか、日々の暮らしの中で叱ることはたくさん出てくるでしょう。
その時も、「やった事実」だけを叱るようにします。
「今日はご飯を食べる前までに宿題を終わらせる約束だったよね。どうしてやってないのかな?」と、事実だけを注意してください。
叱る時に「あなたはいつもそうなのよね。ちっとも約束を守らない」とか「何度言ってもダメな子ね」など、その子の人格まで否定するようなことを言ってはいけません。
行動を叱られれば「次はどうすればいいか」とうことを考えるきっかけになりますが、人格を責められても子供はどうしようもないです。
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あとで必ずフォローする
誰だって叱られたらへこみます。
それは大人も同じで、むしろ大人の方がへこむかもしれないですね。
でも、叱っているのはその人の力を信じているからです。
どうでもいい人は叱らないし、放っておきますよね。
だから、叱るということはあなたに見込みがあり、もっと伸びるであろうということがわかっているから叱るのだ、ということをわかってもらう必要があります。
そのために、叱った後には必ずフォローするのです。
別に食事をおごるとか、そういうフォローではありませんよ。
「君には期待している」「次は頑張って」と、その人を信頼している旨が伝わるように声をかけるということです。
子供へのフォロー
やってはいけないということをやったから叱った、というような時、叱られているうちは子供はなかなか素直に話を聞けないことがあります。
わかってるけどやっちゃったんだよ、という気持ちもあり、親が叱る理由もわかるけど、「しょうがないじゃないか!」という反発心も起きます。
だからこそ、少し時間をおいて、クールダウンしてから声をかけた方が効果的な場合もあります。
「ママ(パパ)はこうしてほしかったんだ」「君なら出来るはずだよ」と、叱りたくて叱っていたのではなく、子供に期待する気持ちから注意したのだということが伝わるように、必ず声かけをしてください。
もしかしたら叱られている間は、頭に血が上ってしまって、話半分になっているかもしれません。
叱った意図がきちんと伝わっているかを確認するためにも、フォローは必須です。
他人と比較しない
これは人を叱る時に最もやってはいけないことです。
「どうして○○くんみたいに出来ないんだ!」といわれても、できないものはできないのです。
できる人と比較されてもどうしようもありませんし、やる気にはつながりません。
逆にやる気を失ってしまいます。
「だったらその人にやってもらえば?」というひねくれた気持ちすら出てきてしまいますよね。
人と比較するのは逆効果でしかありません。
きょうだいでも比較はダメ
友達との比較はもちろんのこと、きょうだいでの比較もだめです。
むしろきょうだいで比較される方が子供にとっては辛いかもしれません。
そうか、自分は○○と比べて愛されていないんだ、ママは○○の方が大事なんだ、と気持ちがねじれてしまいます。
同い年の子供でも、きょうだいでも、その子からしてみれば全く関係のない人間。
その人と比べられても、どうしようもないのです。
長時間叱らない
延々とお説教をくらっているとウンザリしてきますよね。
最後の方はもう話など聞いていないかもしれません。
長時間お説教をしている時というのは、本当に必要があって叱っているというよりも、怒りたくて怒っている、ただ感情をぶつけているだけになってしまっています。
それではいくらいいことを言っても、相手の心には届きません。
叱る時はピンポイントで、必要なことだけを要点をまとめて伝えるようにします。
長時間怒っても何がいけないのかわからなくなる
子供は余計に飽きてしまいます。
「はいはい、わかったよ」という態度になっていることがありませんか?それは長時間怒りすぎているのかも。
どのくらいが長時間かというのは難しいですが、叱る内容を何度も繰り返している時は「長時間」と判断できますね。
お説教は1回言えば済みます。
1回言ったくらいでは聞かないと思うかもしれませんが、それはまた同じ間違いをした時に注意すればいいことで、今何度も話をして延々と叱ってもあまり意味がありません。
叱る時はピンポイントで、必要なことだけを伝えるようにします。
子供を叱る時の「4つの心得」・まとめ
人を叱るというのは実はとても難しいことなのです。
ただその行動を注意するだけでなく、次につなげて成長してもらいたいからです。
叱るのも技術の一つ。
子供が叱られた意味をしっかり噛み締めて成長していけるように、この4つの心得をいつも意識してみてください。