親はどうしても子供が「いじめられないように」ということばかりに意識を向けがちですが、本当に気をつけなければいけないのは、いじめる側に回らないということかもしれません。
学校という特殊な環境は集団いじめが発生しがちです。
なぜ集団でいじめをしてしまうのか、その心理を考えながら子供が加害者にならないように気をつけたいものです。
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集団いじめが起こる心理
昨日まで仲良くしていたはずなのに、急に無視されたり、意地悪なことを言われたりすることがあります。
しかも、相手は集団になっているので、一人では勝ち目がないと思い、いじめられた子は非常に落ち込んでしまいます。
なぜ集団でいじめをしてしまうのでしょうか。
自分がいじめられる側になりたくないから
誰かがいじめられていると知った時に、それを止めるのは非常に勇気がいることです。
子供だとなかなかできないでしょう。
それは、そのいじめを止めることによって自分がいじめられる側になってしまう可能性があるからです。
そんな怖いことをするよりは、いじめる側についていた方が安心です。
本当はその子が嫌いでもなんでもないけれど、一緒になっていじめている間は自分がターゲットになる心配はないからです。
責任感が薄れる
集団の中にいれば、周りの人に責任転嫁ができます。
自分一人ではない
自分だけが悪いんじゃない
自分もやったかもしれないけど、言い出したわけではない。
やれっ!て言われたからやったなど、いざという時は、誰かのせいにして責任を逃れることができるので、つい加担してしまうのです。
多数派に属することで自分が正しいと思う
集団いじめが発生するときは、大抵リーダー格の子供が「○○が生意気だ」などと一人のことを悪く言いはじめるなど、何かしらのきっかけがあります。
その時に、実際には思っていないのに、みんなが強い子に同調し始めると、止められなくなってしまいます。
多数派に属した方が安心だという心理が働き、多数派にいると「自分の意見が正しいのだ」という錯覚を起こすからです。
わかっていてもやめられない心理
心理学では、人間には、自分がすでにしてしまったことを、正当化したい、自分が言ったこと、行ったことと一貫していたい、という欲求があるようです。
ですから、一旦、何かしらの決断を下したり、ある立場をとることによって、一貫したいという心理的な圧力がかかり、人は自分の決断を正当化しながら行動するようになるというのです。
この原理といいますか、国家間の戦争中に戦略として行われていたこともあったそうですから、いじめは悪だとわかっていても、一旦、行動をとってしまうと、簡単に謝ったり、意見を変えたりということは、やりにくくなるようです。
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いじめる側の問題
いじめは100%、いじめる側に問題があります。いじめられる子に問題はありません。
たまに、「いじめられる側にも原因が」というような意見を見かけますが、たとえどのような理由があろうとも、集団で一人をいじめていい理由などないはずです。
集団いじめが起こる原因には、いじめている側の心の問題があると考えます。
不安やイライラがつのっている
小学校の低学年くらいでは、まだあまりないと思いますが、高学年になると人間関係も複雑になり、勉強も難しくなってきたり、塾通いが忙しくなるなど、子供なりに疲れることが増えてきます。
また、思春期に差しかかる微妙な年齢であり、ただでさえ「なんとなくイライラする」という状況になりやすい時期に、さらにストレスを感じるようなことが増えると、その漠然とした怒りや不安をどこにぶつけていいのかわからなくなってしまうのです。
家で話ができたり、友達同士で遊んで解決できればいいのですが、気持ちのはけ口がないと、それを自分よりも弱いものにぶつけることがあるのです。
自分を認めて欲しい
入学したての頃はそれほど差がなかった勉強も、高学年になるとどんどん差が広がってきます。
できる子とできない子、その差がはっきりしてきてしまいます。
何かがうまくいかない、頑張っているのに結果が出ないとなると、「自分を認めて欲しい」という気持ちが強くなり、その気持ちによって攻撃的な行動に出てしまう子もいます。
うらやましい、妬み、嫉妬
いじめられる子は、必ずしも気の弱い子ばかりではありません。
かわいかったり、性格の良い子でもターゲットになる場合があります。
そのような場合、いじめている側の心理としては、「いい子」に対する妬みからいじめに走ることもあります。
自分より優れていることが気に入らない
自分よりも良い物を持っているのが気に入らない
いつも先生に褒められているのが気に入らない
自分の仲良しの子と仲良くした
いじめる側にさせないために親としてできること
集団でいる以上、いじめをなくすことはとても難しく、誰でも被害者、加害者になる可能性があります。
問題は、加害者になってしまうことです。
どうすれば加害者にならないようにできるのでしょうか。
子供をよく見て、よく話す
子供がストレスを抱えていないか、何か問題を抱えていないか、日頃の言動から探る必要があるでしょう。
高学年になる程、特に男の子は学校であったことなどを自分から話してはくれなくなります。
そのような時にどうするかです。
「今日、学校はどうだった?」と聞いても、おそらく何も話してくれません。
そんな時は、親から「今日はこんなことがあってね」と自分のことを話してみてはどうでしょうか。
つまらないことでミスしてしまった話とか、自分は悪くないと思うのに謝るはめになったとか、親自身の話をしてみると、「僕もこんなことがあったよ」と話してくれるかもしれません。
すぐに何かを話してくれるかどうかはわかりませんが、子供と接触する時間をできるだけ持ちたいですね。
相手がいじめと思ったらいじめ
交通事故の例を挙げるとわかりやすいかもしれませんが、相手がルールを破ったとしても、いくらこちらが正当性を主張しても、相手を怪我させてしまった加害者は、加害者です。
どんな理由があろうとも、そして自分はいじめているつもりが無いと主張しても、相手が「いじめられた」と思ったらそれはいじめなのです。
それを子供に徹底的に教えましょう。
自分は、ただ単に、遊びの延長でからかっているつもりでも、相手が傷ついていればそれは「いじめ」なのだと、耳にタコができるほど説明しておくことが必要です。
1対1なら喧嘩ですが、集団対1人になったら、どんな理由があってもいじめです。
いじめをしているとわかったら
もし子供が集団いじめに加わっているとわかったら、親として断固たる態度で臨む必要があります。
いじめは100%いじめる側が悪いのであり、いじめられた側には落ち度はないこと、集団で人をいじめるなど一人の人間として最低、最悪のことなのだと教えなくてはいけません。
そして、いじめた子に対して誠心誠意謝ることです。
あいつだって悪いなんて思っているうちは謝れないので、まずは反省をしっかりさせた上で、親と一緒に謝りに行きましょう。
集団いじめが起こりやすい学校の心理・まとめ
人が集団になるとどうしてもいじめは起きてしまうものですが、起こることを前提に、どうしたらそれを防げるのかということを普段から考える必要があります。
物事に絶対はないので、自分の子供が加害者にならない保証はありません。
1人1人はいい子でも、集団になると適切な判断ができなくなることも考慮して、いじめを防ぐために日頃から子供と話す時間をなるべく取りたいものです。