子供の不登校はいつでも誰にでも起こりうる可能性があります。
特に、長期休暇の後や、学校で嫌なことがあった後など、元気なお子さんが、突然予期せず、不登校や引きこもりになってしまうということがありえます。
そんな時は、早期発見が大切ですし、こちらのブログでも書いたように、できるだけ早めの対処をすることをおすすめいたします。
今回は、やむを得ず学校に行けなくなってしまった場合、どうしても家でしばらく過ごすことになってしまった場合に、どのように過ごしたら学校生活に早く復帰できるようになるか、そのための対策や家庭で行うべきことについて提案をしたいと思います。
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子供の安心・安全の欲求を満たすことが先決
学校に行くことに理由はともあれ、強い抵抗感を抱いている子供を、無理やり学校に行かせるようなことをしてしまうと、逆効果になってしまうことがあります。
心理学者のマズローが提唱した、欲求の5段階説をご存知でしょうか?
人間の行動の裏には、必ずそのための欲求があるわけなのですが、欲求には大きく分けて5つの段階があるという説です。
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生理的な欲求(眠いから寝る、お腹が空いたから食べる、など)
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安全の欲求(危険から身を守りたい、貧乏になりたくない、など)
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所属と愛の欲求(社会の一員となりたい、友達が欲しい、もっと親に愛されたい、など)
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承認の欲求(もっとグループに自分の業績を認められたい、自分のことを多くの人に認めてもらいたい、など)
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自己実現の欲求(社会のために貢献したい、自分の理想とする自分になりたい、など)
誰もが、この欲求の段階に従って、優先度1から5に向けて欲求を高めていくと言われています。
そして、重要なことは、優先度の高いことが満たされて初めて次の段階の欲求を求めてゆくということです。
ですから、生理的な欲求を満たす前に、安全の欲求を求めることは無いですし、安全が確保されていない状況で、所属と愛の欲求を持つことはありません。
ここでお伝えしたいことは、子供が学校に拒否感を持っているということは、学校は自分にとって危険なところである、自分の身を守る必要が有ると感じているということです。
ですから、学校に無理やり行かせようとすると、むしろ逆効果であり、できるだけ安心や安全の欲求を満たしてあげること、つまり、しばらくは学校に無理に行かず、調子が回復するまでは家にいて危険な目に遭わないようにしましょうと、子供に伝えることです。
不登校や引きこもりの小学生の家での過ごし方
ここからは、いくつかの家庭での過ごし方を説明したいと思います。
あくまでも、不登校や引きこもりを推奨しているわけではなく、学校に良いタイミングで復帰、復活するために、どのような過ごし方をするべきかというご提案です。
大好きなこと・集中していて飽きないことに没頭する
「しばらく学校に行かない」となると、時間はたくさんありますね。
この貴重なたくさんの時間を、ダラダラと過ごしたり、ゲームやネットサーフィンなどで使ってしまっては、逆に罪悪感が生まれてしまいます。
学校に行かない、行けないことで傷ついているのは、子供自身ですから、クラスメイトが学校で勉強している間に、自分だけはゲームをしているという状況は、精神衛生上、決して健康的ではありません。
ゲームやネットをし続けることは、健康上の問題や、中毒性の問題があり、おすすめしませんが、その他のことで、子供が熱中できること、時を忘れて没頭してしまうようなことがあれば、ぜひさせてあげてほしいと思います。
不登校の子供は、自己嫌悪に陥っていたり、自己肯定感が低いという傾向があります。
自分の好きなもの、好きな事、没頭できることがあるだけで、随分自分を肯定する力が生まれてくるでしょう。
やればできる!といった自分への自信や、自己肯定感を高めるためにも、子供の好きなこと、飽きないことを見つけ、思う存分熱中させてあげてください。
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適度な運動
身体を動かすことと、心の健康は深くつながっています。
運動することでストレスが軽減されたり、心が晴れるような経験をしたことはありませんか?
適度な運動は、精神衛生上不可欠ですので、1日30分程度でも良いので、運動の時間を設けることをおすすめします。
お天気が良い日は、散歩やサイクリングに出かけるのも良いでしょう。
また、学校は行けなくても、運動の習い事をやってみるのも良いでしょう。
学校のお友達に会うのが怖いという場合は、家の中で身体を動かしたり、あえて少し遠い場所に行って運動するのも良いと思います。
一定時間の家庭学習【最低限の学力は将来のために必要】
自分で進んで自主学習できる小学生は、数パーセントは存在すると思いますが、ほとんどの子供達は言われなければやらないですね。
誰かに言われてすぐやる子、言われてしぶしぶやる子、言われてもやらない子、など、勉強が楽しいと思っている子供は喜んで勉強するでしょうが、大人にとっても勉強はハードルがあるものですから、子供が進んで勉強しないのは当たり前だとも言えます。
しかし、ずっと勉強しないまま小学生時代を過ごしてしまうと、後でとんでもない将来になってしまうことをお伝えしたいです。
小学校の計算ドリルや漢字ドリルは、確かに面倒ではありますが、あの毎日の積み重ねは、将来の役に立つ大切な積み重ねです。
何年も前になりますが、一時期、家庭教師としてある不登校の高校生を指導したことがありました。
その生徒は、小学校低学年から中学3年間ずっと不登校で、学校にはほとんど行かなかった生徒さんでした。
通信制の高校に入ったので、その勉強指導をしたことがあるのですが、アルファベットはもちろんほとんど書けませんし、漢字も基本的なものすら全然書けない状態、まして、計算については、かけ算もろくに覚えていないといった子でした。
勉強をしたい、大人になったらこんなことをやりたい、進学したいといった意欲はあるのですが、学力がなさ過ぎて、将来の選択肢が少なすぎるという状況に一緒に困惑したのを覚えています。
ですから、不登校であっても、できるだけ基礎学力はつけてほしいです。
将来、進学や就職の道を選ぶ際にも、選択肢が1つでも多くなるように、基礎学力だけは、一日数時間でも良いので学習時間を設けるように努力をしてほしいと思います。
いくつか方法はありますが、リモート学習(リモート学習のメリットとデメリット)や、家庭教師を依頼するなど、やり方は必ずあります。
その子に合わせて、柔軟に、適切な学習方法を見つけて、取り組んでほしいと思います。
学力の遅れが少なければ少ないほど、学校にもスムーズに戻りやすくなりますし、進学の際も、選択肢が広がります。
以下は、自宅で学習を進める際に役立つものですので、参考になれば幸いです。
家庭教師を依頼
基礎学力をつけるために、一定時間の学習時間を確保してほしいと上記でお伝えしましたが、第三者の協力を得られると、効率は上がります。
学校に行けないけれど、家にプロの先生に来てもらうことで、モチベーションも上がりますし、褒めてもらえたりするとやる気も出ます。
家庭教師の先生は、日中は時間がたっぷりあることが多いので、しっかり勉強を見てくれるでしょう。
先生と子供の性格や指導方針が合う・合わないなどありますので、一度会ってみて、ちょっと違うなと思ったら遠慮なく申し出て、ずっと長期にわたってこの先生にお願いしたいと思う先生を選びましょう。
たとえ、1週間に1度のレッスンだったとしても、何もしないで家でダラダラ過ごすよりははるかに有効な時間の過ごし方だと思います。
新しいことを習い始める
家にずっとこもっていると、精神的にもあまり良くありません。
かといって、外にばかり出かけて、運動や散歩ばかりするのも疲れてしまいますので、週に1回~2回程度、気分転換となる習い事などを始めてみてはいかがでしょうか。
学校のお友達がいないような、マニアックな習い事であったり、今まで挑戦したことのない分野のことに挑戦してみると、自分に自信がもてるようになってきます。
行ったことのない場所に飛び込んでみたり、初めて会った他の子供達と話してみたり、新しい経験を通して、違う世界を見ることができ、自分に自信をつけることで、前向きに、そして、多角的に物事を見ることができるでしょう。
新しいことの例としては、以下のようなものがあります。
アート系の習い事(絵やイラスト)
音楽(歌・ピアノやギターなどの楽器)
身体を動かす習い事(柔道、剣道、合気道、野球やサッカーなどのチームスポーツなど)
伝統的な習い事(そろばんや書道など)
好きな分野の読書(マンガも可)
読書は必ず有意義な時間となるでしょう。
どんな本でも構わないと思います。
子供さんが好きな本であれば、最初は絵本でもマンガでも構いません。
毎日、30分でも良いので、読書の時間を設けることはおすすめです。
もし、自分で読むことに苦手意識を持っている子であれば、オーディオブックも利用してみてはいかがでしょうか。
お母さんやお父さんの読み聞かせができれば最高ですが、時間がない場合は、YouTubeやオーディオブックの利用もおすすめです。
不登校や引きこもり 子供の家での過ごし方・まとめ
誰にでも不登校になる可能性は秘められており、一時期、子供が家にこもるという時がやって来るかもしれません。
そんな時もパニックになることなく、長期的な将来を見越して、目の前のことに一喜一憂することなく、冷静に物事を分析して行動してほしいと思います。
今はしばらく学校を休んでいるかもしれないけれども、1人でも多くの不登校に悩む子供たちが、進学や就職、自分の将来の夢につながることを考えながら、前向きに充電の時間を過ごしてくれることを願っています。